前回、ペットワンで出会ったシルバーダップルの女の子は、
かなり心を惹かれたものの、お迎えすることは見送った。
それからしばらくの間チェックしていたが、なかなか目当ての子は見つからなかった。
前回の店員さんの言葉が頭に残っていて、ようやく理想の子が出てきたとしても、すぐに決まってしまうのではないかと気が気ではなかった。
けど、だからといって四六時中サイトを見ているわけにもいかない。
頭を悩ませた末に一つの方法を思いついた。
AIを使って理想の子犬を探してみた
ChatGPTにぼくが昔一緒に暮らしていたワンコ、MUの赤ちゃんの頃の写真を見せて、
「この子に似ている子を探してほしい」
と伝えてみた。
すると、ぼく自身は「MUに似ている」としか伝えていなかったのに、写真からかなり細かい特徴を読み取って、探す条件として登録してくれた。
チョコダップルという毛色だけでなく、短めのマズルや幼い顔つき、優しく眠そうな目など。
おお、そこまで写真から分かるのか。
そこから実際に何度か子犬を探してもらい、
「この子は目がちょっと違う。疲れているような目じゃなくて、もっとキラキラして好奇心旺盛な目の子がいい」
「毛色が濃いからもう少し薄い茶色が多めで淡い感じ」
と伝えながら、ぼくが探している子のイメージをさらに擦り合わせていった。
そして、もうひとつAIに期待したのが新着情報のチェックと通知だった。
理想の子が掲載されても、自分が気づく前に連れていかれてしまったら最悪だ。
AIに聞いてみると、定期的に新しい子が掲載されていないかチェックして、条件に合う子が見つかったら通知することもできるという。
AIの進化すごいっす!
AIを使って新着情報をできるだけ早くキャッチする方法
ところが、実際に使っているうちに気になることが出てきた。
ぼくが自分で見つけた情報と、AIから通知される情報にタイムラグがある。
なんでだろう?
確認してみると、AIはペットミーなど、複数のペットショップの情報をまとめたサイトに掲載された情報を取得していることがあった。
一方で、各ペットショップの公式サイトには、それより先に新しい子の情報が掲載されていることがある。
実際、ぼくが公式サイトですでに見つけていたわんこを、その数時間後にAIから教えてもらうこともあった。
もっと早く!限界を超えるんだ!
珍しいカラーの女の子なんて、いつ決まってしまうかわからない。
そこで、ぼくがチェックしていたペットショップの公式サイトのURLをAIに送り、1時間ごとに新しい子が掲載されていないか確認するようにした。
さらに本命のチョコダップルについては、
「外見にはこだわらず、新しい女の子の情報が出たら教えて!」
と設定。
「NEW」という表示だけでは新着と判断せず、掲載日なども確認するようにして、新しい情報をできるだけ取りこぼさないよう細かく条件を調整した。
また、掲載日が載っていないサイトもあるので、その場合は前回のチェックで掲載されていない個体識別番号が掲載されていたら通知するようにした。
こうして、AIにインプットする条件がどんどん細かくなっていった…
掲載直後の子犬情報をAIがキャッチ!
そんな条件設定をAIにしてから数日後。
ついにAIから気になる情報が来た。
場所は六本木のJOKERというペットショップ。
まだ掲載されてから間もないためか写真は掲載されていない。
でも、チョコダップルのミニチュアダックスの女の子が掲載されたとのことだった。
その時ぼくは大宮にいた。
六本木は少し遠い。
でも、もしドンピシャの子だったら……。
そう思うと居ても立っても居られなくなったので、
直接六本木に向かうことにした。
ペットショップへ直行!理想にぴったりの子だった
そうしてペットショップに到着。
さっそくその子を探してみるが、見当たらない。
店員さんに聞いてみると、
「先ほどお店に来たばかりで、まだ店の奥にいます」
とのこと。
見せてもらえるか聞いたところ、奥から連れてきてくれた。


……。
めちゃくちゃかわいい。
この子だと思った。
優しい顔で、ふにゃあと大人しい。
淡い色のチョコダップルで、MUを彷彿とさせる。
前回の経験もあったので、価格交渉もしてみた。
すぐに決めるのであれば、3万円は相談可能とのこと。
また、ぼくが確認した時は36回まで分割手数料無料。
「ジョーカーズケア」というサービスや保証についても説明を受けた。
JOKERのペット購入費用・サービス
値引き
すぐに決める場合は3万円の値引きを相談可能
分割払い
36回まで分割手数料無料
ジョーカーズケア
88,000円
ワクチンや遺伝子検査などを含む
保証(以下については追加料金なし)
1年間の生命保証
重大な支障のある疾患に対する保証
※ぼくが当時店舗で説明を受けた内容。現在の料金・サービス内容とは異なる可能性があります。
妻にも会ってもらうことにした
店員さんに、
「明日妻を連れてくるので、それまで待ってもらえますか?」
と聞いてみた。
待ってくれると言ってくれた。
翌日は、とりあえずジョーカーズケアの88,000円を前金として支払う必要があるとのこと。
また、遺伝子検査の結果がまだ出ていないこと。
検査でお腹に虫がいることが分かり、薬を飲んでいること。
そのため、それが治る1週間後くらいに正式な契約になるという説明も受けた。
家に帰って早速妻に、
「かわいい子を発見した!」
と伝えた。
そして翌日、一緒に見に行くことになった。
前金支払い直前に健康上の問題があると後から言われた
翌日。
妻を連れて再びペットショップを訪れた。
かわいいわんこに、妻も心惹かれているようだった。
そんな時、店員さんが突然こう言った。
「昨日お伝え済みかと思いますが、この子はパテラのグレード1と診断されているんですが、まだ赤ちゃんで筋肉が作られる前ですし、成長とともに丈夫になるので問題ないと思います」
……。
え?
聞いてないですけど。
妻も、
「何それ?」
という感じになっている。
ちなみに妻はこういう健康面についてかなり慎重。
こういう話があると、すぐに最悪のケースになると思い込む人だ。
そしてぼくも、
そもそもパテラってなに?
状態。
店員さんの説明を聞き、その後自分でも調べてみることにした。
パテラとは?グレード1〜4の違い
パテラとは「膝蓋骨脱臼」のこと。
膝のお皿にあたる膝蓋骨が、本来の位置から外れてしまう状態で、程度によってグレード1〜4に分類される。先天的な要因だけでなく、事故などによって起こる場合もある。
| グレード1 | グレード2 | グレード3 | グレード4 |
|---|---|---|---|
| 普段は正常な位置にあり、手で押すと外れるが自然に戻る | 普段は正常でも、膝を曲げた時などに外れることがある | 普段から外れていて、手で戻しても再び外れる | 常に外れていて、手でも正常な位置に戻せない |
今回の子は、この中では最も軽いグレード1だった。
だから店員さんから「そこまで心配しなくても大丈夫」という説明を受けたことも理解はできる。
でも、この先絶対に問題が起きないとも言い切れない。
このリスクをどう捉えるか、突然言われてもすぐに決めるのは酷な話だった。
不信感はあった。それでも前金88,000円を支払った
本当に大丈夫なのか腑に落ちないし、後から言われたことで不信感もあった。
それでも、この時点ではその子を迎えたいという気持ちが強かった。
一旦、ジョーカーズケアの88,000円を前金として支払った。
その時の申込書には、お客様都合によるキャンセルの場合には返金しないこと、お店側の事情など一定の場合には返金されることが書かれていた。
店員さんに確認すると、
「遺伝子検査の結果でアフェクテッドが見つかった場合などは返金になります」
という説明だった。
そもそも、
遺伝子検査って何を調べているんだ?
ということで、これも調べることになった。
犬の遺伝子検査とは?
犬の遺伝子検査では、犬種ごとに関連する遺伝性疾患について、特定の遺伝子変異を持っているかなどを調べる。
今回ペットショップから結果を聞いた検査項目のひとつが、PRA(進行性網膜萎縮症)だった。
PRAは網膜が徐々に変性し、視力が低下していく遺伝性の眼疾患。
遺伝形式によって意味は異なるものの、潜性遺伝の疾患では検査結果が次のように示されることがある。
| クリア | キャリア | アフェクテッド |
|---|---|---|
| 検査対象の変異遺伝子が検出されなかった | 変異遺伝子を1つ持っている | 変異遺伝子を2つ持っている |
※キャリアについては、「その子自身は発症しないが、繁殖した場合には組み合わせによって子どもがアフェクテッドになる可能性がある」とペットショップから説明を受けた。
また「クリア」も、検査した遺伝子変異についての結果であり、すべての遺伝性疾患がないことを意味するものではない。
家に帰ってから妻が夜通しパテラについて調べていたことは言うまでもない……。
そしてぼくも今回のことで、子犬を迎える前の健康状態について気にするようになった。
パテラのほかにも、ヘルニアやオーバーショットなど、事前の健康診断でいろいろな所見が出ることを知った。
特に前回訪れたペットワンでは、健康診断結果や遺伝子検査の証明書をわんこごとに確認できた。
これはすごくいいなと思った。
そしてパテラについて調べていて、もうひとつ気になった。
もし今後治療が必要になったら、ペット保険は使えるのか?
お迎え前から健康上の問題がある子のペット保険の扱いは?
人間の保険でも、加入前から病気が分かっている場合には、加入や保障に条件がつくことがある。
では、わんこの場合はどうなのか。
調べていると、各社ともパテラそのものを補償対象としている保険はある。
ただし、保険に入ってから初めてパテラと分かった場合と、加入する前から分かっていた場合では扱いが違う。
保険各社を調べてみると、補償開始前から発見・発症していたパテラは補償対象外としているように読み取れた。
参考に各保険会社の情報を以下に整理してみた。
| 保険 | 【加入前に判明】 保険に入れる? | 【加入前に判明】 パテラ治療に使える? | 【加入後に判明】 パテラ治療に使える? |
|---|---|---|---|
| アイペット「うちの子」 | ○※ | × | ○ |
| ペット&ファミリー | ○※ | × | ○ |
| PS保険 | ○※ | ×※ | ○※ |
| FPC「フィット」 | ○※ | × | ○ |
| アニコム「ふぁみりぃ」 | ○※ | ×※ | ○ |
※「○」はパテラの所見があるだけで申し込み自体ができないという意味ではない。実際の加入可否は健康状態などを告知したうえで各社が審査するため、契約できない場合もある。
※PS保険では、パテラがある場合に「特定疾病不担保特約」を付けて契約できる場合があり、その場合は左右両側の膝関節疾患が補償対象外となる。
補償開始後に初めて発見された先天性のパテラは補償対象。ただし、獣医師から遺伝性と明確に判断された場合は補償対象外。
※アニコムでも、パテラについて除外条件が付いた場合は左右両側の膝関節疾患が補償対象外となる。
※各社の契約条件や実際の保険金支払いは個別に判断されるため、加入時には必ず保険会社へ確認が必要。
調べた情報を裏付けるために、PS保険へ直接電話して聞いてみた。
「ペットショップでパテラ・グレード1と言われている場合はどうなりますか?」
確認した結果、上の表に記載したとおり、最終的には審査部門の判断になるものの、保険自体には加入できても、その疾患については補償の対象外になる可能性があるとのことだった。
こうした特定の傷病を補償対象外とする条件が付くことを「不担保」と呼ぶことも、この時初めて知った。
やっぱりそうかぁ。
難しい問題だ。
でもグレード1ならそこまで問題ないという話も聞いている。
万が一悪化しても、必要なら治療すればいいのかなぁ。
受け入れるしかないか。
そんなふうに心を決め始めていた。
別のペットショップにも健康上の問題がある子について詳しく聞いてみた
と思っていたら、妻から、
「別のペットショップでもパテラについて詳しく聞いてみたい」
と言われた。
なるほど確かに。
そこで健康診断でパテラの所見が出ている子がいる別のペットショップへ行って、店員さんに話を聞いてみることにした。
そこで聞いたのは、
「まだ生後間もないので膝が緩く、パテラと判断される子もいる」
「成長する過程で筋肉がついて外れにくくなることもある」
という話だった。
前のペットショップの店員さんと同じような説明だ。
まあ、そりゃあペットショップはそう言うよね。
ただ、その店員さん自身もグレード2と言われた子を迎えたことがあり、
「15歳になった今もグレードはそのままで元気ですよ」
と話していた。
さらに保険についても聞いてみた。
店員さんからは、そのお店で購入と同時に加入できる保険では、購入前にパテラと診断されている子も保険に加入でき、加入後にパテラで治療した場合も補償されるという説明だった。
調べた内容と違うなあ…
理屈はよくわからなかったけど、補償されるんだぁ。
少しプラスの情報が手に入ったのはよかった。
※これはぼくが当時その店舗で受けた説明。実際の補償可否は保険会社や契約内容、告知・審査などによって異なるため、加入時に保険会社へ確認が必要。
申込後にさらに新たな健康上の問題が判明
そうして1週間が過ぎた。
ペットショップから電話がかかってきた。
遺伝子検査の結果は、
問題なし。クリアだった。
ほっと胸を撫で下ろした。
ところが。
それとは別に、追加の健康診断について説明された。
前回は、
片脚のみパテラ・グレード1。
それが今回は、
両脚ともパテラ・グレード1。
……。
え?
なんか、なんでもないことのようにあっさり言われた。
話がちゃうやん。
ついこの間は片脚だったのに、今度は両脚?
悪化してないか、それ?
聞いてみると、前回とは診察した先生が違うため、獣医師によって診断結果が変わることもあるとのこと。
……。
まったくよくわからん。
それなら、どっちかの診断は間違いということでは?
納得はできなかったけど、話が進まないので一旦説明を聞いた。
そして保険についても改めて聞いてみた。
するとここでも、健康診断で出ているパテラ・グレード1という所見について、その時点では確定診断とは異なるという趣旨の説明を受けた。
さらに保険会社への告知も不要だと説明された。
……。
だったらこの診断はなんなん?
混乱の極みだった。
ペットショップの店員を信じるかどうかはあなた次第ということか…
悩んだ結果の最終判断は?
妻もこの話を聞いて、また一晩中悩んでいた。
もう!妻は神経質なんだからやめて!
ぼくもどうしようかとすごく悩んだ。
でも将来、この子の膝が外れた瞬間をどうしても想像してしまった。
もし歩けなくなったら悲しい。
大切だからこそ、そんな姿は見たくない。
もちろん、一度家族として迎えた後に病気になったのであれば、何があっても最後まで面倒を見る。
でも今回は、申し込んだ後にさらに健康状態について新しいマイナスの情報が出てきた。
本当にいろいろ悩んだ。
そして最終的に、
今回は見送ることにした。
キャンセルを伝えて88,000円の返金交渉
その旨をペットショップにもきちんとメールで伝えた。
申し込んだ時点では片脚のパテラ・グレード1と聞いていた。
しかし、その後の健康診断では両脚になった。
申し込んだ時点と話が変わっていて、将来的なリスクを考えた時に、ぼくたちとしては許容できない。
そのためキャンセルしたい。
また、これは申込書に書かれている「客都合のキャンセル」ではないと考える。
そのため、申込金についても返金してほしいと伝えた。
すると、店長さんから電話があった。
ぼくたちの気持ちも理解できるし、返金させていただくとのことだった。
さらに、
「今後もペットを探すのであれば、グレード1という所見はそれほど気にしすぎなくても大丈夫だと思います」
という話もしてくれた。
また、この店舗では火曜日に新しい子が入ってくるので、
「また気になる子がいたら見に来てください」
とも言ってくれた。
ペットショップとしては誠実な対応だった。
ありがとうという気持ちと同時に、あの子のことを考えると胸が痛かった。
あと、前から思っていたが、ペットショップによって新しい子が来るタイミングはある程度決まっているのかもしれない。
今後探す時は、ペットショップに聞いてみるのもいいかもしれない。
どうかあの子が健康でいてくれて、良い家族が見つかってほしい
本当にかわいい子だった。
一度は、「この子だ」と思った。
だから迎えないという結論を出すのはつらかった。
ぼくたちが見送ったからといって、決してこの子が悪いわけじゃない。
パテラが悪化することなく、ずっと元気に過ごしてほしい。
そして、
良い飼い主さんが早く見つかってほしい。
心からそう思った。
まさかの結果となってしまった……。
わんこ探しってこんなに心が削られるの?
でもあきらめない…!
まだまだわんこ探しの旅は続きそうだ。



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